クリス・クロス 混沌の魔王 感想、レビュー この手の内容が20年も前に書かれてたとは

高畑京一郎「クリス・クロス 混沌の魔王」感想、レビューです。 ページ数:248

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物語の面白さ:S

文章:B

キャラの魅力:C

雰囲気、世界観、設定:S

総評:A

あらすじ

MDB9000。コードネーム“ギガント”日本が総力を結集して造り上げたスーパーコンピュータである。

世界最高の機能を誇るこの巨大電子頭脳は、256人の同時プレイが可能な仮想現実型RPG「ダンジョントライアル」に投入された。

その一般試写で現実さながらの仮想世界を堪能する参加者たち。しかし、彼らを待っていたのは華やかなエンディングではなく、身も凍るような恐怖だった…。

感想

この作品が世に出されたのはもう20年前とのことで、そのあたりから10年前ぐらいまでに読んでた方はなんとも思わなかったかもしれませんが、平成生まれのアニメ好きの人なら非常に高い確率で

「ん?めっちゃどこかで聞いた事あるような設定なんだけど?」

ってなります。舞台は近未来で、いろいろ技術とかが発展していて、VRのゲームが凄い流行ってるという事で(まあ、もうリアルにも実際にVRだとかいって出てきてますよね。)、仮想世界に入ってゲーム楽しんでたんだけど、何やら相当にヤバいゲームらしく、ゲームクリア以外に脱出不可能で、ゲームの中の仮想現実とはいえ、その中で〇〇してしまうと現実でも〇〇してしまうとか。設定が完全にSAOでした。

ただ、本作が出版されたのが1997年で、SAOが出る10年以上前の作品なんで、SAOの方が本作の影響を強く受けたんだろうなって感じですね。

さっき言ったようにほぼ同じと言えるくらいに似ている設定ですが、唯一違うと所と言えば、同じ仮想世界でも舞台が違いますね。

適切なゲーム用語とか知らないんですが、FFで言うと、本作は地下何階とかまである洞窟とかのダンジョンの中が舞台で、SAOはそういう洞窟やら山やら町やらががあるワールドマップ全体が舞台みたいな感じですかね。

その舞台の違いもあるかもしれませんが、こちらの方がより

「閉じ込められた。」「ゲームの中で俺は〇〇のか?」(〇〇にする意味がもはやないと思いつつもまあ一応。)みたいなシリアスさは出てましたね。

SAOの方は最初の衝撃的な始まりの割にノリが軽いというか、「なんかこいつら余裕だな。」って感じでしたし。まあ、それはそれで悪いとは思いませんが。

まあともかく、そんな感じなんで、ストーリーと設定はかなり面白い。そして、この人の文章はとにかく無駄がない感じでめちゃめちゃ読みやすいし、進行するスピードも速いです。

これは人によれば欠点とも言えると思いますが、この人の文章には全くと言っていい程にキャラの心理描写がない(少なくとも本作には)です。ここまでないのも珍しいと思うぐらいになかったです。主人公も、何か考えるにしても「その場で考えるであろう事」しか基本考えませんし、他のキャラの場合はただ台詞だけがあります。

なので、もちろんキャラに感情移入とかは相当に困難だと思います。

「徹底して物語だけを読ませる文章」

と言っていいかもしれません。なので感動とかもないです。

しかし、面白いです。読み始めればガーッと一気に読んでしまえる種類の作品です。

終わり方は「結局何だったの?」っていう消化不良とも言える終わり方ですが、本作の場合は、敢えてそうしているような感じがしますし、これはこれで、というかこういう終わり方で良かったのかしれません。

最後だけ取ってつけたように大団円のハッピーエンドとか見せられるより、主人公の何とも言えない孤独感漂う感じが印象に残ったと思います。

キャラ

さっき書いたように、本作ではキャラの内面、心理描写は一切描かれないに等しいと思うので、好きなキャラも嫌いなキャラも特にいません。

考え方の一つとして、小説をボードゲームとしたら、ボードが物語でその上に乗っているコマがキャラという考え方も出来る思うのですが、他の作品では一人か二人ぐらい割とよくいますが、

「物語の展開上、必ずしも必要とは思えないぐらいに、私は〇〇なキャラです。」

っていう個人の主張を存在感を主張するキャラがいますが、例えば、最近読んだ西尾維新さんの戯言シリーズなんか、これでもかってぐらいにキャラの個性を主張してきますが、本作では本当にきっぱりさっぱりない。

私はこれはこれで面白かったし、「ほんとに作者によって全然違うよなあ」と当たり前の事ですが、改めて思いましたね。

総評

設定とストーリーが非常に面白かったです。一気に読めてしまうハマり度の高い作品を読みたい人にはうってつけだと思います。

しかし、20年も前と言えば、私がネットすら知らなかった時代で、もうこんな設定の話を書いてたのかって思うとなんかすごいなと思いますね。

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